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嫌いだった女が死んだ夜、元夫の愛が怖くなった ――もう一度、あなたを愛せるまで――
嫌いだった女が死んだ夜、元夫の愛が怖くなった ――もう一度、あなたを愛せるまで――
Auteur: 花柳響

第1話 「消えて」と送った夜

Auteur: 花柳響
last update Date de publication: 2026-08-03 00:41:58

 瀬名莉子が死んだ夜、警察に見せられたのは、私が送った三文字だった。

『消えて』

 送信時刻は午後八時十三分。彼女が恋愛リアリティ番組『RE:PAIR』の共同生活棟、その設備区画で発見される一時間半ほど前だった。

 取調室の机には、透明な袋へ入れられた私のスマートフォンと、口をつけていない紙コップが置かれていた。刑事は調書を指で追う。職業欄には〈生活雑貨ブランドmellow note 商品企画〉と印字されていた。

「水城真帆さん。このメッセージは、あなたが送ったもので間違いありませんか」

 画面の三文字は指先で隠せるほど小さい。それでも、もう消せなかった。

「はい。私が送りました」

 死んでほしかったのかと聞かれれば、違うと答える。けれど、私たちの前からいなくなればいいと思ったことまで否定すれば、そのほうが嘘になる。

◇

 あの朝、瀬名はまだ生きていた。

 共同生活にも慣れてきた頃だった。番組が借り切った家には油と照明機材の熱がこもっていた。離婚や破局を経験した男女が、一か月、仕事や自宅への出入りを挟みながら共同生活棟を拠点に過ごし、デート企画を重ねて、最終生放送で関係を選び直す。

 復縁すると決めて参加したわけではない。一か月も顔を合わせれば、戻りたいのか、もう終わっているのか、そのくらいは分かると思っていた。

 私の相手は、五年前に離婚した元夫、深見景都だった。企業の炎上や事故対応を請け負う危機管理会社LATTICE SHIELDの代表だ。

 キッチンには三台のカメラがある。まな板だけでなく、誰が誰を見たかまで残す配置だった。

「はい、お料理のシーン頂きます。カメラ回します」

 赤いランプが点く。私はパプリカを同じ幅に切った。

 視界の端に、赤いスカートが入る。

「真帆さん、お手伝いしますよ」

 瀬名莉子がレンズへ笑いかけながら隣へ立った。元アイドルで、途中参加の〈New Choice〉。壊れた関係へ新しい選択肢を差し込む役だ。

「ありがとうございます。でも、大丈夫です」

「糸、出てます。危ないですよ」

 断ったのに、瀬名の指が背中へ回った。衣装の留め具を摘まみ、首の下に触れる。布を直すだけにしては長い。

 振り払えば、その瞬間だけが使われる。若い女に苛立つ元妻。番組が欲しがる画が浮かんだ。

 その一瞬の遅れを、瀬名は見逃さない。

「手、震えてますね」

 弾む声のままカメラへ背を向け、耳元へ唇を寄せる。

「赤ちゃんのもの、今も見られないんですか? だから、あんなに得意だったお料理も、しなくなったんでしょう?」

 刃先が止まった。

 五年前の病院。白い天井と消毒薬の匂い。目を覚ました時、下腹部の重さだけがなくなっていた。

 話したのは景都だけだ。母にも、親友の宮坂灯にも、会社にも言っていない。

「あのこと、どうして知ってるの」

 瀬名はカメラへ向けた笑顔を崩さなかった。

「あ……景都さんから、聞いてないんですね」

「答えて」

「私から話すことじゃないので」

 答えはないのに、景都の名前だけが二人の間に残った。

 瀬名は私の顔を一度見て、またレンズへ笑った。

 振り向いた拍子に、汗ばんだ手の中で包丁の柄が滑った。人差し指へ熱い線が走り、白いまな板に血が落ちる。

「止めろ。カメラ止めろ」

 低い声がキッチンを切った。

 スタッフより早く景都が入り、私の手首を取る。白いハンカチで傷を押さえた。布の端には、結婚して最初の誕生日に私が選んだKの刺繍がある。

「手、上に。指を動かすな」

「これくらい、自分で――」

「今だけは任せて」

 救急箱を抱えたスタッフが来ても、景都は消毒液とガーゼだけを受け取った。

「深見さん、撮影の尺が――」

「止める。医務スタッフも呼んで」

 彼が顔を上げると、ディレクターは黙った。

 景都の肩越しに見ると、さっきまで耳元で笑っていた瀬名が、今は口元を押さえていた。

「ごめんなさい。私、そんなつもりじゃ……」

 スタッフにも聞こえる声だった。

「景都が、あの人に話したの?」

 包帯を巻く指が止まる。

「話してないよ」

「だったら、誰が」

「分からない。確認する」

 瀬名はいつの間にかキッチンから消えていた。

 作業台には切りかけのパプリカと、血を吸ったガーゼが残る。三台のカメラは止まっていたが、どれもこちらを見ていた。

「誰が教えたの」

 もう一度聞いた時には、景都も私を見ていた。瀬名へ向けたはずの問いに、なぜ彼が答えを探すのか。その顔から目を離せなかった。

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Dernier chapitre

  • 嫌いだった女が死んだ夜、元夫の愛が怖くなった ――もう一度、あなたを愛せるまで――   第195話 もう一度、あなたを愛せるまで

     婚姻届を出した翌朝、目覚ましより先に鍋の音で目が覚めた。嫌な予感がして台所へ行くと、景都が粥を作っている。「結婚した翌朝に、どうして粥なの」「米が余ってた」「病人みたい」 景都は笑って火を止めた。同じ鍋から二つの茶碗へよそい、塩の瓶は私が先に取る。二回振ると、向かいでは景都が一回だけ足した。 同じ粥なのに、今日も味は違った。 粥は前より少し米粒が残っていた。景都が何度か作るうちに、私がその方を好むと覚えたらしい。聞けば得意そうに説明しそうなので、黙って食べた。 テーブルの端には、昨日役所でもらった控えが置いてある。戸籍上の名字は変わったが、鞄の名刺入れには水城真帆のカードがそのまま入っている。 景都が控えへ一度目をやった。「違和感ある?」「まだある。でも、慣れてないだけ」 それ以上、名前の話はしなかった。 食べ終える頃、瀬名のことが頭をよぎった。もしあの夜がなければ、と考えかけ、茶碗を流しへ運ぶ。水を出すと、考えもそこで途切れた。 景都が鍋を洗い、私は水切り籠へ茶碗を二つ並べた。写真は撮らず、役所の控えもテーブルへ置いたまま。洗った鍋を受け取って拭き、布巾をいつもの位置へ掛ける。 出勤の支度をする。鏡の前で髪を整え、仕事用の名刺を確認する。玄関の鍵置きには二人分の鍵が並んでいた。 玄関を出る前、私は役所の控えを鞄へ入れようとしてやめた。今日は必要ない。テーブルの端へ戻すと、景都も何も言わなかった。昨日まで大事に持ち歩いていた紙が、一晩で生活の中の一枚になっている。 景都が先に靴を履く。「今日、帰り遅い?」「分からない。新商品の会議」「終わったら連絡して」「したくなったらね」 景都は一瞬だけ困った顔をし、それから笑った。 ドアを開ける前、私の名を呼ぶ。「好きだ」 何度聞いても、うまい返し方は思いつかない。私はコートの袖を掴み、そのまま距離を詰めた。「……私も」 エレベーターが来る。景都は先に乗り込まず、開いた扉の脇へ寄った。私

  • 嫌いだった女が死んだ夜、元夫の愛が怖くなった ――もう一度、あなたを愛せるまで――   第194話 手を取る前に

     婚姻届を出す前の日、景都と仕事帰りに合流した。特別な食事はせず、駅前のスーパーで牛乳と卵を買う。 景都が袋を全部持とうとしたので、一つだけ渡した。「持てるよ」「知ってる。半分」 牛乳の入った方が明らかに重かった。それでも景都はそのまま持って歩いた。 横断歩道で赤信号に止まった時、景都が明日のことをもう一度確かめた。「本当に出す?」「今さら?」 最後に聞きたかった、と言うので、私は信号の向こうを見ながら少し考えた。「出すよ。景都は嫌になった?」「逆。嬉しすぎて、まだ確認したくなる」「それなら、これで最後」 信号が青になり、歩き出す時に景都の手がこちらへ伸びかけて止まった。私からその手を取る。 指を絡めると、最初だけ強く握られた。顔を見ると景都が慌てて力を抜く。「そのままでいい」 スーパーの袋が歩くたび脚へ当たり、途中で持ち替える。そのたび、つないだ指の角度だけが変わった。 家へ着くと、景都は牛乳を冷蔵庫のいつもの場所へ入れた。私は卵を上段へ置く。「そこ、取りにくい」「私は取りやすい」 俺が取る時は、と続きかけた声を、冷蔵庫の扉を閉める音が切った。「明日から夫になる人も、自分で取って」 景都が笑う。 結婚前夜まで、冷蔵庫の使い方は合わなかった。 テーブルには、明日出す婚姻届を封筒に入れて置いてある。景都が提出時間を確認しようとスマートフォンを取る。「朝起きてから決めよう。役所は逃げないよ」 彼は少し迷ってから端末を伏せた。 夜、牛乳を飲もうとして冷蔵庫を開くと、卵はまだ私の置いた上段にあった。 景都は直していなかった。 夕食後、景都が買い物袋を畳み、私は流しでコップを洗った。明日役所へ行くというのに、話しているのはゴミの日と牛乳の残りだけだった。婚姻届の封筒はテーブルの端にあり、誰も触らない。 寝室へ入る前、景都が封筒をもう一度見た。手を伸ばしかけ、やめる。「何?」と聞くと、「明日忘れないかと思って」と言う。私は玄関の鞄

  • 嫌いだった女が死んだ夜、元夫の愛が怖くなった ――もう一度、あなたを愛せるまで――   第193話 朝の台所

     新しい家が決まった。最初に気に入った窓の大きな古い部屋ではなく、その近くで見つけた少し小さな部屋。駅から六分、台所は二人で立っても肩がぶつからない。 引っ越し初日の朝は、段ボールだらけだった。カップの箱が見つからず、紙コップでコーヒーを飲む。「結婚する家の最初が紙コップ」と私が言うと、景都は「割れないからいい」と平然としている。 ソファもまだ届かず、二人で床へ座った。休む間もなく荷ほどきへ戻る。 景都が炊飯器を持って台所へ行ったが、コンセントと冷蔵庫の扉の間で何度も場所が変わる。私も手伝い、結局、最初に置いた位置から十センチずらしたところで落ち着いた。 最初に届いた大きな荷物は、私の仕事机だった。景都の机より先なのが少しうれしい。窓際へ置いて椅子へ座ると、眩しくないかと聞かれた。「使ってみないと分かんない」と返した。 洗面所の棚には、景都の整髪料と私の化粧水が並ぶ。化粧水が少し傾いていたが、彼は触れない。私が自分で中央へ寄せると、鏡越しに目が合い、二人とも笑った。 午後、古い木製の鍵置きが箱から出てきた。前の家から景都が持ってきたものだ。傷も、鍵で擦れた白い跡も残っている。 使うかと聞かれ、しばらく手に取ってから玄関へ運んだ。今度は、二人の鍵を並べる。 ソファも届いた。景都が寸法通りの位置へ置こうとするのを止め、窓が見える方へ少し斜めにする。二人で座り、あと数センチだけ動かした。そこで決まった。 夜は段ボールの間で、コンビニの惣菜を紙皿へ移して食べた。「新居最初の夕飯だな」と言われ、記念日にしないでよ、と笑う。 段ボールを開くたび、二人の過去が混ざって出てきた。私の古い文房具、景都の仕事資料、前の家の鍵置き。残すか捨てるかは、思い出の有無より、今も使うかどうかで一つずつ決めた。 寝る前、玄関へ行くと鍵が二つ並んでいる。自分の鍵を一度持ち上げ、また戻した。明日の朝、ここから仕事へ行く。景都も別の時間に出て、どちらかが先に帰る。 翌朝、景都が先に起きて湯を沸かしていた。私は寝ぼけたまま、ようやく見つけたカップを二つ出す。 昨日の紙コップを記念に取っておいたかと聞かれ、「何の記念?」と返すと、景都が笑った。

  • 嫌いだった女が死んだ夜、元夫の愛が怖くなった ――もう一度、あなたを愛せるまで――   第192話 婚姻届の余白

     婚姻届をもらってきたのは景都だった。「役所の前を通ったから」 嘘ではなさそうだが、偶然でもない顔をしている。 テーブルへ広げる。氏名、住所、本籍、証人欄。大きな決断なのに、紙の上では罫線と小さな文字ばかりだった。「今日は書くの?」「見せるだけ」 以前の私の言葉を真似している。 名字の欄を見つめる。仕事では水城真帆を使い続けると決めている。戸籍上は、まだ答えがない。景都は自分が変える案も本気で考えていた。「会社、大変でしょう」「手続きはできる」「だから、今は決めない」 二人で用紙を眺める。 しばらくして、自分の名前の欄へ指を置いた。「仕事は水城で続けたい。戸籍は……深見でも、今なら嫌じゃない」 景都が顔を上げる。 口にしてみると、少しだけ喉が乾いた。 瀬名との番組で使った選択札を思い出す。復縁、別離、New Choice。あの札にも管理番号があった。目の前の紙にも番号はあるけれど、カメラへ掲げる必要はない。 書き損じれば、もう一枚もらえばいい。 その夜は何も書かなかった。婚姻届をテーブルに置いたまま夕食を食べ、テレビをつけ、洗濯物を畳む。 景都が用紙をファイルへしまおうとしたので、「まだそこに置いて」と言う。「汚れるよ」「汚れたら、新しいのもらう」 少し嫌そうな顔をした。 翌朝も紙はテーブルの端にあった。コーヒーを置く時だけ二人とも慎重になる。 証人は灯へ頼んだ。電話の向こうで数秒黙ったあと、「やっと?」と言われる。「何年かかったと思ってるの」 説明するのが面倒で、私も笑った。 証人欄はまだ白い。ほかにも決まっていないところがある。それでも朝食の皿は片づき、景都は仕事へ出た。 夕食はスーパーで買った総菜だった。婚姻届のすぐ脇へパックを置くのが落ち着かず、紙だけ少し端へずらす。景都はソースをこぼさないよう妙に慎重だった。「そこまで大事にしなくても」 用紙の角には、朝から何度か触った

  • 嫌いだった女が死んだ夜、元夫の愛が怖くなった ――もう一度、あなたを愛せるまで――   第191話 今度は、私から

     家探しを始めて一か月、最初に気になった窓の大きな古い部屋がまだ空いていた。二度目の内見へ行くと、前より生活の形が見える。 ここにソファ。窓際に私の机。景都の仕事部屋は別にして、会議の声が聞こえないよう扉を閉めてもらう。「真帆のオンライン会議も結構大きいよ」「私のは声が通るだけ」 そんなことを言いながら、空の部屋を歩いた。 ベランダへ出る。夕方の風が冷たく、遠くを電車が通る。隣の建物のベランダには洗濯物が二枚だけ揺れていた。まだ誰の家具もない部屋より、そちらの生活感の方が先に目に入る。 手すりへ触れたまま、景都を呼んだ。「何?」「結婚しようか」 景都はすぐには返事をしなかった。手すりに置いた指も、動かない。 自分でも、今言うとは思っていなかった。「今、言いたくなった」 彼が何か確かめようとする前に続ける。「前みたいに、景都の家に入るんじゃなくて。二人で新しい場所を選んで、そこからなら……結婚したい」 最後だけ声が掠れた。 景都が一歩こちらへ来て私の前で止まると、私は自分からその胸へ寄った。 腕が背中へ回り、思ったより強く抱かれたので、コート越しに背中を叩く。「強い」「悪い」「離さなくていい」 空の部屋では声が少し響いた。窓の外を電車が通り過ぎ、その音が遠ざかるまで顔を上げなかった。 以前のプロポーズには、指輪も家も家族への説明も先にあった。今日は契約前の空室で、家具一つない。足元には不動産会社が置いた使い捨てのスリッパがあり、景都の片方だけが少しずれていた。 リビングへ戻ると、不動産担当が給湯器の位置や更新料、ゴミ置き場の説明を続けた。さっき結婚を決めた二人へ向けているとは思えないほど事務的で、その調子に助けられた。 景都が聞いたのも、家賃と配線のことだけだった。 内見を終え、廊下へ出る。不動産担当が何気なく「ご夫婦ですか」と聞いた。 私は景都を見る前に答えた。「まだです。でも、そうなる予定です」 景都は資料を受け

  • 嫌いだった女が死んだ夜、元夫の愛が怖くなった ――もう一度、あなたを愛せるまで――   第190話 二人で選ぶ輪

     指輪を見に行こうと言い出したのは私だった。記念日でも、誕生日でもない平日の仕事帰り。「今日?」「見るだけ」 予約はしていない。駅ビルの店へ入り、用途を聞かれた時だけ少し緊張した。「結婚指輪を見に来ました」 景都は何も訂正しない。 細いもの、幅のあるもの、石が入ったもの。何本か試すうち、景都が私の好みばかり探していることに気づいた。「自分のも選んで」「俺は何でも」「それは禁止」 店員が笑う。 仕方なく景都も自分の指へ何本か通す。仕事中に邪魔にならないか、なくさないかと、考えることが妙に実用的だ。 私は細い丸みのあるもの、景都は少し幅のある艶消しが気になった。 店員が、お揃いでなくても一組にできると言う。 同じ形ではない二本がトレーの上へ並ぶ。私はしばらくそれを見ていた。 景都の左手を、指輪を選ぶために初めてじっくり見る。長い指、紙で切ったらしい小さな傷。夫婦だった頃にも知っていた手なのに、知らない時間の跡が増えている。 私の手にも仕事でついた傷がある。「今日、決める?」 景都が聞く。「見るだけって言ったでしょう」 候補はあった。でも買わなかった。 店員がサイズを測る時、景都は指を真っすぐ差し出しすぎて、「力を抜いてください」と二度言われた。私は横で笑う。私の番になると、今度は自分の指が妙に硬い。店員は慣れた手つきでリングゲージを入れ替えた。結婚という言葉より、金属が指の節を通る感触の方が現実的だった。 景都は候補の型番を覚えようとし、私は「写真撮ればいいじゃん」と笑った。 彼はようやくスマートフォンを出した。 店を出る前、もう一度二本を並べてもらう。形は違う。内側の刻印だけは、同じ日にしてもいいかもしれないと話した。 帰りの電車で、景都が毎日つけるかと聞く。「仕事によるかな」 少し残念そうな顔をする。「景都も外す時あるでしょう」「ある」 それなら同じだ。 指輪を買うことより、外す日があることまで

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